製造業で生成AIをどう使う?自社のマニュアルや技術情報を活かす方法

こんにちは、マーケティング部 AIマーケティング推進課の森山です。
ChatGPTをはじめとした生成AIの活用が広がっていますが、製造業では、
「生成AIを導入しても、実際に何に使えばいいのだろう?」
と感じる方も多いのではないでしょうか。
例えば、製造業にはこのような情報が蓄積されています。
- 製品ごとのマニュアルや仕様書
- 過去の修理履歴やトラブル事例
- 品質管理や保守に関する資料
- 自社独自の製造ルールや作業手順
- ベテラン社員が長年蓄積してきたノウハウ
こうした情報は会社にとって大切な資産です。
しかし実際には、「資料はあるけれど、どこに書いてあるか分からない」「過去にも同じトラブルがあったはずだけれど、見つけられない」ということも少なくありません。
結局、詳しい人に聞いた方が早い。
そんな状況になっていないでしょうか。
生成AIは、自社の製品やルールを知っているわけではない
生成AIに質問すれば、さまざまな質問にすぐ回答してくれます。
しかし、一般的な生成AIが最初から自社のマニュアルや修理履歴、独自の製品仕様まで知っているわけではありません。
例えば、自社独自の製品について、
「製品Aでエラーコード○○が表示された場合、どの部品を確認すればいい?」
と質問しても、AIが参照できる情報を持っていなければ、自社の過去の修理履歴をもとに回答することはできません。
製造業で生成AIを活用するのであれば、一般的な知識だけではなく、自社が持っている情報も活用できる仕組みが重要になります。
そのようなときに使われるAIの仕組みが「RAG」です。
自社の情報を探してから回答する「RAG」
RAGとは、Retrieval-Augmented Generation(検索拡張生成)の略です。
簡単にいうと、AIが自分の知識だけで回答するのではなく、指定された情報の中から関連する内容を検索し、その情報を参照して回答を生成する仕組みです。
例えば、RAGから自社の製品マニュアルや修理履歴を検索できるようにしておきます。
そこで、
「製品Aでエラーコード○○が表示された場合、過去にどのような修理をしている?」
と質問します。
すると、関連するマニュアルや過去の修理履歴を検索し、その内容をもとにAIが回答します。
つまり、AIにすべてを覚えさせるのではなく、「質問されたら、自社の資料を探してから答えてもらう」という仕組みです。
製造業とRAGの相性がよい理由
製造業では、一般的な情報だけでは判断できない場面が多くあります。
例えば、
「同じシリーズでも、この型番だけ部品の仕様が違う」
「旧モデルでは、この手順で対応する必要がある」
「この症状が出た場合、過去にはこの部品を交換している」
といった情報です。
こうした自社製品ならではの仕様や過去の対応事例は、一般的な生成AIに質問するだけでは正確な回答を得られない可能性があります。
RAGを使って自社のマニュアルや技術情報を参照できるようにすることで、AIが推測だけで回答するのではなく、自社が持っている情報を根拠として回答できるようになります。

なお、RAGを利用した場合でもAIの回答が必ず正しいとは限らないため、重要な判断では参照元の資料を確認することが重要です。
製造業では生成AIをこんな場面で活用できる
では、自社の情報と生成AIを組み合わせると、具体的にどのようなことができるのでしょうか。
過去の修理履歴やトラブル事例を探す
製品に不具合が発生したとき、
「以前にも同じ症状があった気がする」
と思っても、膨大な修理履歴から該当する事例を探すのは大変です。
例えば、
「型番○○で、電源を入れても起動しない事例は過去にあった?」
とAIに質問して、関連する修理履歴を探すことができれば、過去の原因や対応内容を確認する手がかりになります。
マニュアルや仕様書から必要な情報を探す
製品が増えるほど、マニュアルや仕様書も増えていきます。
「どの資料に書いてあったか分からない」
「PDFを何個も開いて検索している」
という方もいるのではないでしょうか。
これらの情報をRAGから検索できるようにしておけば、
「製品Bの使用可能温度は?」
「旧モデルと現行モデルで変更された仕様は?」
と質問するだけです。
RAGは複数のマニュアルや仕様書から関連する情報を探せるため、資料を一つずつ確認する手間を減らせます。
製造業では、同じ製品シリーズでも型番や製造時期によって仕様が異なる場合があります。そのため、単に資料を見つけるだけでなく、「どの製品・どの型番についての情報なのか」を確認しながら利用することが重要です。
RAGで参照元の資料を確認できるようにしておけば、AIの回答だけを鵜呑みにするのではなく、元になったマニュアルや仕様書を確認しながら判断できます。
ベテラン社員の技術やノウハウを活かす
製造現場には、マニュアルだけでは分からない知識もあります。
「この音がするときは、この部品を確認する」
「この症状の場合は、まずここを見る」
といった経験から得られたノウハウです。
こうした情報を作業記録やトラブル対応履歴として残し、AIから検索できるようにすれば、若手社員も、まずはAIに質問して過去の知識や対応事例を確認できるようになります。
特定の社員だけが知っている状態を減らし、技術継承や属人化の解消を支援する方法としてもRAGは活用できます。
社内からの問い合わせ対応に活用する
「この製品の仕様を教えてほしい」
「この部品はどの製品で使用している?」
「このエラーが出た場合はどう対応する?」
こうした質問が、設計や開発、品質管理など特定の担当者に集中している企業もあるでしょう。
社員自身がAIに質問して必要な情報を探せるようになれば、問い合わせる側は回答を待つ必要がなくなり、問い合わせを受ける側の負担軽減にもつながります。
蓄積した情報からマニュアルや資料を作る
RAGは、質問への回答だけでなく、検索した自社情報を生成AIに渡すことで、資料作成にも活用できます。
製品情報や技術情報をRAGから参照できるようにしておけば、その情報をもとにマニュアルや社内向けの資料を作成するといった活用もできます。
例えば、新しい製品について仕様や操作方法、注意事項などの情報をRAGから参照できるようにしておけば、
「この製品の情報をもとに、初めて使う人向けの操作マニュアルを作って」
と指示することで、RAGが参照できる情報をもとにマニュアルのたたき台を作成できます。
製品ごとに一から情報を集めて文章にまとめるのではなく、すでに社内に蓄積されている情報を再利用できるのもRAGの活用方法の一つです。
これは製品情報だけではありません。
自社のサービス内容や事業内容、会社情報などをAIが参照できるようにしておけば、
「自社のサービスを初めて知る人向けに会社概要をまとめて」
「営業担当者向けにサービスの特徴をまとめて」
といった使い方もできます。
つまり、RAGによってAIが自社の情報を参照できるようになると、「質問に答えてもらう」だけでなく、「自社の情報をもとに新しい資料を作ってもらう」こともできるようになります。
こうした社内向けRAGを構築できる「GMO AI RAG」
ここまで紹介したような、マニュアルや仕様書、修理履歴などの自社情報を活用するRAG環境を構築できるのが「GMO AI RAG」です。
GMO AI RAGは、社内文書を参照して回答する企業向けRAGソフトウェアです。
クラウドだけでなくオンプレミス環境にも対応しているため、製造業で扱う技術情報や社内資料のセキュリティ要件に合わせた構成を検討できます。
RAGは社内向けのチャットシステムとしても使える
RAGの仕組みは、Webサイト上で訪問者が利用するチャットボットでよく知られていますが、社内向けのチャットシステムとして活用する方法もあります。
例えば、製品マニュアルや仕様書、修理履歴などをRAGから参照できるようにしておけば、社員がチャット画面から質問し、必要な情報を探せるようになります。
さらに、社内の情報はファイルだけに保存されているとは限りません。
顧客情報や案件情報はSalesforce、業務データはkintone、日々のやり取りはGmailやSlackなど、複数のサービスに分散している企業も多いでしょう。
GMO AI RAGのEnterprise版では、kintone・Salesforceなどの外部アプリと連携するSaaS連携APIや、Gmail・Slackなどと連携するリモートMCPにも対応しています。
さまざまな場所に蓄積された情報をRAGから活用できるようにすることで、社内の情報を探すための手間を減らすことができます。
社内データを外部に出したくない場合はオンプレミスという選択肢も
製造業で生成AIを導入するときに、
「社内の技術情報をクラウドに置いても大丈夫なのか」
「機密性の高い製品情報が外部に流出しないか心配」
という企業もあるでしょう。
RAGはクラウドサーバー上で動かす方法だけではありません。
GMO AI RAGでは、クラウド環境だけでなくオンプレミス環境での構築にも対応しています。
また、GPT・Claude・GeminiなどのクラウドLLMを利用する構成だけでなく、ローカルLLMを組み合わせた構成も可能です。
RAG環境の構成によっては、外部クラウドへのデータ送信を抑えた構成など、自社のセキュリティポリシーに合わせて利用環境を検討できます。
製造業に蓄積された情報を生成AIで活かす
製造業では、長年の業務によって多くの技術情報やノウハウが蓄積されています。
重要なのは、新しくAIのための情報を一から作ることだけではありません。
すでに社内にある、
マニュアル、仕様書、修理履歴、トラブル事例、作業手順などを、生成AIから活用できる形にする。
これも製造業における生成AI活用の一つです。
さらに、RAGを社内向けに活用すれば、ファイルとして保存された資料だけでなく、日々利用している業務システムやコミュニケーションツールに蓄積された情報も、生成AIで活用できる可能性があります。
「自社にある資料でも生成AIを活用できるのか」
「現在使っているシステムの情報をRAGで活用できるのか」
「クラウドに社内データを置くのは不安」
「RAGで解決できる課題なのか分からない」
という段階でも問題ありません。
「現在保有しているPDFやOfficeファイルを活用できるのか」
「既存のファイルサーバーやクラウドストレージと連携できるのか」
「オンプレミスで構築する必要があるのか」
といった導入前のご相談も可能です。
自社のマニュアルや技術情報を活用した生成AI・RAGの導入をご検討の場合は、お気軽にお問い合わせください。

※本記事はGMOプライム・ストラテジー株式会社(GMO AI RAGチャットの提供者)が執筆しています。
GMO AI RAGは、当社が提供する、社内文書を参照して回答する企業向けRAGソフトウェアです。
※記載の会社名・製品名は、各社の商標または登録商標です。

GMOプライム・ストラテジー株式会社 マーケティング部 AIマーケティング推進課
森山 砂葵
エンジニア/前職では制作会社でWebディレクターとして、営業、企画提案、要件整理、進行管理、デザインなど、プログラミング以外のWeb制作業務全般を担当。現在は、Web制作の経験を生かし、AIを活用したシステム開発や業務改善に取り組んでいる。